室長 吉岡様
制作進行 柳田様 越智様
アニメーター 小梶様
2012年に設立された株式会社ライデンフィルム。制作拠点として東京、京都、大阪にスタジオを設け、地方での制作拠点運営に注力をされています。その中でも大阪スタジオでは設立当初からデジタル作画の導入を模索し、今回『アルスラーン戦記 風塵乱舞』のグロス回では全スタッフがデジタル作画を行っています。
そんなライデンフィルム 大阪スタジオ様に、商用アニメ制作機能が搭載された「CLIP STUDIO PAINT EX」をご利用いただいた背景・効果や、地方制作とデジタル作画の展望についてお伺いしました。
大阪スタジオの設立は2012年の10月で、最初は紙による制作でしたが、デジタル作画の導入を念頭に置いておりました。
15年の秋にCLIP STUDIO PAINTにアニメーション機能が実装されたタイミングで社内の機材もそろってきたため、同年12月には本格的にレイアウトやラフ原・原画などから移行を進めました。(吉岡様・越智様)
先ほども申し上げ上げました「デジタル機材の導入」の際に、ソフトの選定も必要でしたが、弊社ではCLIP STUDIO PAINT一択でした。
低コストで導入できたというのも大きな理由ですが、使い方を皆に教えたり、旭プロダクションさんの動画を見ていくうちに、最終的にスタッフ全員が「使うことができるようになった」のが決め手でしたね。そんな時『アルスラーン戦記 風塵乱舞』グロス回を大阪スタジオでうけることになったため、これを機に本格的に挑戦しました。(吉岡)
レイアウト、作監・演出修正、原画作業はCLIP STUDIO PAINT(以下:クリップスタジオ)です。工程間の受け渡しはアニメーションフォルダを作成することで、紙に戻ることなく管理ができました。吉岡さんは以前からコンテ作業もクリップスタジオでやってましたよね。(柳田)
コンテ作業用ツールとしては、個人ではかなり前から使ってたんですよ。マンガ制作で使う複数ページ管理機能や、セリフを入れるストーリーエディターがすごい便利で。(吉岡)
紙でやったことはそのままできますので、複数の便利機能がある分、描くことついては便利になりましたね。大判の作画や、パース定規を使った背景作画はかなり楽になりました。制作作業の時間自体は、確実に早くなっています。(吉岡)
鉛筆で描いていた時は結構強めの筆圧で手が痛くなってたんですが、それが解消されたのは本当に助かっています。また、アナログですと色鉛筆なんかは消しにくいので、結構神経使ってたんですが、やり直しができるおかげでリラックスして、よりいい線が描けるようになりました。(小梶)
制作進行という立場で言うと、進捗行程がフォルダ毎に管理できたので、紙よりも楽になりました。(柳田)
絵を描く仕事がしたくて、「アニメーター」に行きついたんですが、成長を感じられなかったり、先輩から教えられたことが他スタジオではダメ出しされるなど、このまま続けて先があるのかという壁にぶつかったこともありました。
今でも基礎の技術もはたして自分がちゃんとできているか、と見つめ直しながら取り組んでいます。自分のやり方にこだわらず、色んな人の絵や技法を見ていくことが大事です。矛盾しますけど、時には自分のやり方を全部捨ててみる事で、逆に自分らしさが見えてきたりもします。(吉岡、小梶)
ポストプロダクションが東京中心なのはしばらく変わらないとは思いますが、デジタル環境が整っていくことで場所は関係なくなっていくでしょう。
ただ、技術を受け継ぐにはスタジオのように人が集まらないといけません。今回のクリップスタジオの導入も、最低限必要なショートカットは皆に教えましたが、制作に入ってからは、互いに「発見」を共有しあうことで全員が使いこなせるようになりました。東京地方関係なく、スタジオのように人が集まることが重要だと思います。
デジタル化によって将来的に生産性は上がることは確信できましたので、地方でも今後新しい道に踏み出すスタジオも増え、活性化していくと思います。
大阪スタジオとしては、すぐにでも動画工程までクリップスタジオでできる体制を確立し、サクッとフルデジタルで「元請作品」を制作できる環境にします!(吉岡)
タイムラインのセル指定がそのままタイムシートに反映できるようになるとありがたいです。紙からの移行はできることは分かったので、より作業時間をよりスピーディにできる機能の実装を期待しております。(笑)
また、今は紙からの移行期ですので、デジタル制作になればいらない作業ですけど、タップ穴が出力できればより移行しやすくなると思います。(吉岡、越智)
株式会社ライデンフィルムの地方拠点として、2012年10月に設立。
地方での作画人材の育成、デジタル作画への移行に挑戦しております。
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